島根大学法文学部山陰研究センター
 

第6回山陰研究報告会

◎第6回山陰研究報告会を開催いたしました◎
日 時:2008年12月3日(水)
場 所:島根大学法文学部棟2階 多目的室(207)
0802 プロジェクト名「山陰における持続可能な社会の構築に向けた研究」
報告者:橋本 貴彦 (島根大学法文学部 専任講師)
報告内容:「中山間地の医療体制における現状と課題 −島根県津和野町JA石西厚生連の事例による検討−」
 島根県西部に位置する津和野町 (人口9515名) の医療体制は,これまでJA石西厚生連を母体とする津和野共存病院 (110床) と日原病院 (79床) が担ってきた。この石西厚生連は,農業協同組合が運営する医療機関では日本最古の組織である。しかし,この伝統ある石西厚生連も,2007年3月末に様々な経営的困難から病院施設を津和野町に売却し,規模を縮小した上で運営のみをとり行うこととなった。当然であるが,この事態は,病院利用者や地域住民に大きな影響を与えている。
 そこで,今回の報告では,中山間地の医療体制を維持するという観点から,石西厚生連が経営困難に陥った要因を以下の2つの方法によって分析する。第一に,1978年度から2007年度にかけての「損益計算書」と「貸借対照表」等の経営資料に基づき,通常の経営指標による分析を行う。第二に,価格方程式を用いた要因別分析を行う。この分析によって,経営上の困難が,公定価格の決定,労働生産性と医師数の変動のいずれによるものかを数量的に明らかにする。最後に,今回の考察の結果を踏まえ,地域の医療体制を維持するための政策課題について検討する予定である。

0713 プロジェクト名「石見銀山領における人口増加開始期における人口再生産機構に関する研究」(共同プロジェクト)
報告者:仲野 義文 氏(石見銀山資料館 館長)
報告内容:「石見銀山附地役人と身分」
 一般に幕府直轄領すなわち天領の支配は、代官とその属僚である数名の手附・手代によって行われましたが、鉱山などの特殊な業務が付帯する場合には、専門的な知識や技術をもつ人々を役人として採用し、その任にあたらせました。このような役人を「地役人」と呼びました。
 彼らは陣屋(代官所)下である大森町や銀山町に居住し、先祖代々にわたって代官所の役人を務めました。幕府より禄を給され、苗字帯刀を有するなど身分上においては武士でしたが、その一方で婚姻では日常的に農民と通婚し、経済的には農地を保有し、また貸金などの金融業も営むなど、一般的な武士像とは異なる一面をもっていました。文化面でも、謡曲「石見銀」の作者で、家塾「白川堂」を開設した野沢晟正、「石見銀山絵巻」の作者阿部光格など、才能豊かな人たちがいました。
 この報告では、地役人の職務、生活、文化などを通じて、中間的身分層である彼らの実態を紹介したと思います。

第6回山陰研究報告会にお越しいただき、ありがとうございました。