島根大学「プロジェクト研究推進機構」特別研究部門

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2012年度

<オープンソース・ソフトウェアに関する技術研究>

■オープンソース、プログラミング言語Rubyの開発支援 Rubyの開発者・まつもとゆきひろ客員教授の指導の下に構築したRubyの高度化 ・安定化およびマルチプラットフォームでの動作確認のためのテストベッド環境の運用を行っている。

■オープンソースの開発と公開・運用支援 島根大学で開発・オープンソース化されている「発達障害の診断ツール」や「評価情報デー タベース」、「地域SNSシステム(OPAL:Open Source Project associated with Local SNS)の開発」を行いオープンソース化し、コミ ュニティを中心に改善とバージョン管理が行われている。

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【RubyWorld Conference 2012を開催】

2012年11月8日(木)、9日(金)の両日に開催されたRubyWorld Conference 2012を 財団法人Rubyアソシエーション、島根県、松江市などと共催した。 Conferenceは今年で4回目となるが、今年も2日間でのべ949人が来場し、大盛況に終わった。Conferenceでは2012年4月にISO標 準化されたRubyの今後の活用の可能性についてビジネスや人材育成の各分野から活発な議論が行われた。

島根大学として9日(金)に高清水講師が『島根大学のRubyプログラミング教育の取組』を発表し、島根大学のRuby教育の成果をデータ を中心に発表、Rubyの今後の人材育成の分野での活用に貢献した。


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【オープンソースカンファレンス島根 2012 の共催】

2012年9月1日(土)に開催されたオープンソースカンファレンス島根2012をオープンソースコミ ュニティとともに共催した。 島根大学として総合理工学研究科縄手研究室の松山祐希くんが、「学習支援ソフト開発におけるDXRubyおよびVisualuRuby活用法」とい うテーマで研究室で開発している「発達障害の診断ツール」について発表を行った。

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<オープンソースに関する産業組織研究>

■オープンソース開発スタイルと生産性・経済効果の研究

Rubyの地域産業振興に果たす役割についての実証的研究としてRubyやRuby on Railsなどのオープンソースの経済価値の計測と、情報サ ービス産業の生産性の与える効果について生産性分析モデルを構築ながら研究を進めている。またオープンソースの採用と開発が地域経 済に与える影響についてネットワーク構造を応用しながらの研究も進めている。

■オープンソースライセンスの研究  

オープンソースの開発スタイルを特徴づけるライセンスの研究と、これが情報サービス産業においてビジネスモデルを成立させる要因 について事例を通じて研究を進めている。  

■オープンソースの国際的共同研究体制の構築 海外の産官学のオープンソース・ソフトウェアの研究機関との連携、人材の相互交流を引き続き進め、国際的なオープンソースカンファ レンスの開催の一翼を担っている。この過程を通じて国内外、特にアジアの研究における島根大学のプレゼンスを高めている。

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【2012 International Conference on Innovation, Trade and Economicsでの発表】

6月3日(日)、香港で開催された2012 International Conference on Innovation, Trade and Economicsに参加し、蔡麗明研究員が島根大学の研究成果である「Development Style of Open Source Software and Innovation of Business Enterprises」をテーマに発表を行った。 Conferenceはアジアの若手研究者が多く集まる場で、島根大学の研究成果には多くの関心が寄せられ、発表も高い評価を得ることができた。

oss2012 oss2012

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【日本計画行政学会での発表】

2012年6月30日〜7月1日、谷花研究員が日本計画行政学会中国支部大会において、「オープンイノベーション」の経済効果と地域産業復興策-島根県・松江市を例として」と言うタイトルで発表した。

日本計画行政学会「オープンイノベーション」の経済効果と地域情報産業復興策−島根県・松江市を例として

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【社会情報学会大会での発表】

2012年9月に群馬大学で開催された社会情報学会研究大会においてオープンソース開 発スタイルと生産性・経済効果の研究成果を報告した。 9月14日(金)は客員研究員の佐藤美樹代氏(山口大学・理工学研究科)と野田哲夫教授が「地域イノベーションにおける多面的近接性 と相互作用」というタイトルで、島根県・松江市のRuby地域振興の取組を域内外のネットワーク構造から調査分析した結果を発表した。

9月15日(土)は谷花佳介研究員が「オープンソース・ソフトウェアの市場価値と情報サービス産業の生産性に関する実証分析とその考 察」を発表。企業の外部で共同産出された無形の「資産」であるオープンソースの市場価値の計測と情報サービス産業の生産性に与える 影響について発表した。

社会情報学会「オープンソース・ソフトウェアの市場価値と情報サービス産業の生産性に関する実証分析とその考察」

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【International Conference on OSS:OSS2012での発表】

2012年9月10日(月)から13日(木)にかけてチュニジアのハマメット(Hammamet)で開催されたInternational Conference on OSS:OSS2013に参加、丹生晃隆准教授が野田教授と客員研究員のShane Coughlan氏(Founder at Opendawn)とのオープンソースライセンスによるビジネスモデルの共同研究の成果を「Open Source License and Transition of Governance in Business Enterprises」として発表した。オープンソースはプロプライエタリなソフトウェア開発のビジネスとコン フリクトを起こし、ライセンス訴訟となって表れるが、この訴訟についての事例を収集・まとめると同時に、これに対応したOSS開発 企業のビジネス戦略の展開について研究成果としてまとめたものである。 また、同カンファレンスでは野田教授が publicity co-chair を務め、アジア地域での参加促進を進めた結果、日本から島根大学の参加 者(2名)も含めて5名が参加、6件の発表(発表件数43件)があり、日本のオープンソース研究のプレゼンスを示すことができた。

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【オープンソースカンファレンス2012 Hiroshimaでの発表】

2012年10月20日(土)、広島で開催されたオープンソースカンファレンス2012 Hiroshimaに参加し、野田教授が「世界的なOSS研究の最新動向について(OSS2012報告)」として同カンファレンスに参加した飯尾淳 氏(三菱総合研究所・主任研究員)とともに、International Conference on OSSのカンファレンス参加者による発表の概要と、現地で 情報収集してきた最新のトピックについて報告を行った。

また、谷花研究員が「OSSの経済価値について考える」をテーマにオープンソースの市場価値の計測結果について発表を行った。

OSC2012広島

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【中四国商経学会第53回大会において学会報告 】

12月15日に徳島大学常三島キャンパスにて開催された 中四国商経学会第53回大会において、 本プロジェクトの谷花佳介研究員が 「地域における情報サービス振興策 −「Ruby City Matsue」プロジェクトへの実証的接近−」 と題して報告を行った。 「Ruby City Matsue」プロジェクトに対しては、 本学の野田哲夫教授による定性的視野に立った考察の蓄積が あるが、本報告は定量的な視野に立ち 「Ruby City Matsue」プロジェクトの経済効果を検証するものである。 この意味で、従来の研究蓄積の進展を意味するものであり、 同時に地域経済振興策に対する検証に一石を投じるものといえる。 本学プロジェクトに対する関心は高く、 多くの聴衆から質疑を受けることができ、 今後の研究活動に対する期待の高さをうかがうことができた。

谷花・野田(中四国商経学会20121215「地域における情報サービス産業復興策−」「Ruby City Matsue」プロジェクトへの実証的接近−[1]

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【社会情報学会 情報政策研究会でシンポジウム開催】

2013年2月2日(土)に社会情報学会 の第2回情報政策研究会として東京大学にて「オープンソースと地域情報化政策の展開」をテーマにシンポジウムを開催した。

テーマ オープンソース:集合知の活用によるビジネスモデルの展開
報告者 島根大学法文学部教授 野田哲夫

テーマ 自治体クラウドとオープンソース
報告者 株式会社インターネット・イニシアティブ 高地圭輔

テーマ オープンイノベーションの経済効果と地域情報産業振興策
報告者 島根大学法文学部特別研究員 谷花佳介


野田教授と谷花研究員からは、島根大学で進めているオープンソースの社会科学面からの研究成果を基に、オープンソースの開発とビジネスモデルの成立に関する研究の概観と、オープンソースの活用だけでは直接には地域産業の振興にはつながらない課題などが実証データを基に発表された。
また株式会社インターネット・イニシアティブの高地氏からは自治体クラウドの持つメリットと、東日本大震災以降クラウドを進める自治体が増え、小規模自治体で進んでいる点を具体例も併せての発表があった。
いずれも地方の、特に小規模の自治体でコスト削減やベンダーロックインの解除、そして産業振興を進める取組とその課題であり、会場からも多くの意見が寄せられて白熱した議論が行われた。 今後、社会情報学からもこの分野でのさらなる理論的・実証的な研究が進むことが期待される。

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【オープンソースカンファレンス2013 Tokyo/Spring での発表】

2013年2月22、3の両日、明星大学にて開催されたオープンソースカンファレンス2013 Tokyo/Springにおいて22日、谷花佳介研究員が「OSSの経済価値と経済効果について考える」とのテーマで講演を行った。 本プロジェクトは、オープンソース開発スタイルと生産性・経済効果の研究を目標の一つに掲げているが、そこではオープンソース・ソフトウェアの価値評価と生産性測定モデルの開発が不可欠である。谷花佳介研究員の講演では、オープンソース・ソフトウェアの価値測定手法と情報サービス産業の生産性に及ぼす効果について議論が展開された。 言うまでもなく、両手法はオープンソース・ソフトウェアを用いるビジネスモデルの評価ならびに政策効果分析へと適用することが可能であり、そのせいもあってか50人弱の観衆から高い関心を得ることができた。

OSC2013東京

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【日本計画行政学会関東支部・社会情報学会共催第7回「若手研究交流会」での発表】  

2013年3月2日明星大学にて開催された日本計画行政学会関東支部・社会情報学会共催第7回「若手研究交流会」において、谷花佳介研究員が「オープンプログラミング言語Rubyと地域情報産業振興」のテーマで学会報告を行った。 本学は地域貢献を柱の一つとしており、今回の報告もそれに沿ったものである。本報告は、昨年度における研究成果であるオープンソース・ソフトウェアを用いたビジネスモデルの理論モデル、オープンソース・ソフトウェアの価値測定および生産性測定の両手法を、島根県松江市で現在において展開されている「Ruby City Matsue」プロジェクトの政策評価へと応用したものである。

本報告は無形資本のオープンソース・ソフトウェアの経済価値の評価、ならびに実際に展開されている政策の評価という関心を惹く性格もあり、コメンテーターをはじめ学外の研究者から高い評価を得ることができた。

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【日本計画行政学会関東支部・社会情報学会共催第7回「若手研究交流会」で優秀賞受賞】

 2013年3月2日明星大学にて開催された日本計画行政学会関東支部・社会情報学会共催第7回「若手研究交流会」において、谷花佳介研究員が「オープンプログラミング言語Rubyと地域情報産業振興」のテーマで優秀賞を受賞した。 日本計画行政学会関東支部・社会情報学会共催「若手研究交流会」では、今後の発展が期待される優れた研究に対し優秀賞が送られることとなっている。今回は報告57本(含ポスター)のうち受賞4本であり、谷花佳介研究員の受賞は本学ならびに本プロジェクトの研究水準の高さを示すことができた。

当学会報告は、島根県自治体職員ならびに企業のみなさんに多大なご協力を得ることにより可能となりました。この場を借りて御礼申し上げます。

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<オープンソースの研究成果を活かした教育>

【島根大学総合科目「情報と地域」における講演】

島根大学では2007年度よりオープンソースの技術的な知識と、社会的な位置づけ、産業としての可能性について各分野から幅広く学ぶこ とを目的とした総合科目「情報と地域‐オープンソースと地域振興」を開講している。2012年度も国内外からオープンソースの研究者をお招きして特別講義をしていただいた。

■6月15日(金)

■テーマ:オープンソースとライセンス 特にOSSライセンスと特許権、商標の関係は本プロジェクトの研究課題の一つであり、興味深いものであった。

■講師:講師:大堀 健太郎氏(大堀・山本法律事務所  弁護士弁理士) 日本アイビーエム・ソリューション・サービス株式会社にて金融会社の国際系業務システム開発を担当後、司法試験に合格。特許侵害訴訟,特許ライセンス交渉,無効審判,侵害調査,公知例調を中心に弁護士活動を行っている。 ソフトウェアの知的財産権に詳しい弁護士・弁理士の大堀健太郎さんに「オープンソースライセンスの基礎知識とその応用」を講義していただいた。

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■6月22日(金)

■テーマ:オープンソースの経済モデル(1)

■講師:福安 徳晃氏(The Linux Foundation Japan ディレクター) The Linux Foundation 日本オフィスのディレクター。The Linux Foundation に入社する前は、日本の代表的な Linux ディストリビューターであるターボリナックス株式会社の海外事業本部長として海外事業を統括し、Zend Japan の CEO も務める。米国ランバス大学で BS を、名古屋大学で国際関係学の MA を取得している。 オープンソースの本質=革新的なイノベーションのプロセスであることと、オープンソースは「個」の存在が重要だということを実証。世界を相手に活躍できる「個」になることを学生に語りかけられた。

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■7月6日(金)

■テーマ:オープンソースの経済モデル(2)

■講師:Sulayman K. Sowe氏(UNU-IAS 国連大学高等研究機関 研究員)  国連大学高等研究所の研究員で、アフリカの持続可能な開発のためのオープンソース・ソフトウェアについて研究している。また、政策研究大学院大学の客員研究員でもある。オープンソース・ソフトウェアに関する多くの教育と研究経験・多数の著作があり、EUとアフリカのオープンソースプロジェクトに取り組んでいる。 ガンビアから来られたSulayman Sowe氏の講義、Sustainable Economic Models using Open Source Software もちろん英語での講義だったが、学生とのInteractiveな楽しい講義だった。

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■7月13日(金)

■オープンソースとライセンス戦略

■講師:Shane Coughlan氏(島根大学法文学部客員研究員、Asia Representative at OpenForum Europe) ヨーロッパのフリーソフトウェア/オープンソースの普及活動を行う団体OpenForum Europeにおいて主にオープンソースのライセンス問題を扱う。国籍はアイルランド。現在は日本・高松市に在住し、オープンソース関連ビジネスのコンサルティングを行う。 オープンソースのLaw and Licenseについて講義をしていただいた。また、Coughlan氏が取り組んでいるOpen Relief Project (オープンソースで安価な災害救助ラジコン飛行機を作るプロジェクト)の紹介もしていただいた。この制御がオープンソースで行われていることも重要ですが、このプロジェクト自体がオープンで、Crowd Sourceingのスタイルで進んでいることもオープンソースの特質を表している。